私の同級生「ネギマ君」
2018年2月28日(水)
私は高校にほとんど行っていないうえに、学生時代にも(今でも)社交性が無かったので同級生が極めて少ない。昨日共通の友人の投稿のコメント欄に懐かしい名を見た。あまりにも懐かしすぎて思わず連絡をしてみた。彼は鹿児島を離れ、学習塾の室長をしているらしく、労基が聞いたら飛んでくるような時間まで仕事をしていた。同じ時間まで孤軍奮闘している同級生の近況を知り、同時の記憶がフラッシュバックしてきた。
彼は名を辻と言い(名前が短すぎるためか皆からは当初「辻君」と呼ばれていた)、中学校の野球部でチームメイトだった。
※写真は辻君のイメージです。実物より若干男前となっております。
辻君は彼のあだ名だったが、そのあだ名は、辻君→ネジ君→ネジ(呼び捨てすると怒っていた)→ネギマ君→ネギマ(やはり呼び捨てには怒りを示していた)と最後は苗字の一文字も残っていない謎の呼称で呼ばれていた。ネギマ君は、試合に出ることはあまりなかったが、1試合だけ私の記憶にこびりついて離れない試合があった。
ある練習試合、すでに我々のチームが大差で勝っており、空気的に代打の空気になった。普段あまりそんなそぶりは見せないネギマ君は、なぜかその時「出たい。」と言い出した。私を含む周りのチームメイトは「ネギマ君、出たいんだったら監督にアピールしないと。」と彼を焚きつけた。焚きつけられた彼は、何故か突然監督の前でアリを食べ始めた。2匹を食べ終え、3匹目を食べようとしたころ、ネギマ君の狂気の沙汰にただならぬ気迫を感じたのか、監督は完全にドンびきのまま「代打ネギマ。」を告げた。ネギマ君は守備は上手だったのだが、バッティングは苦手だった。監督を含む我々も全くネギマ君の打席に期待していなかったのだが・・・その初球・・・・
「キィーン」
練習でも見たことのないきれいなセンター前を打ったかと思うと、彼は両手を広げゆっくりと一塁ベースへ向かっていた・・・・。
会場は大爆笑に包まれた。本来完全に怠慢プレーでげんこつものなのだが、監督も爆笑していた。代打に出てきた経緯からただならぬ空気を感じていたのか、相手チームも全員爆笑していた。ネギマ君は両手を広げ、大爆笑に包まれたまま、優雅にゆっくりと一塁ベースに到達した。
私は今でも野球が好きでよく観るが、あんなに優雅なセンター前シングルヒットをこれまで観たことがない。おそらくこれからもないだろう。あの時のネギマ君は、まさに野球好きなら誰もが知っている、あの人の756号のアレそのものだった。ネギマ君はあの時、756号のあの人と完全にシンクロしていた。
※写真はネギマ君のあの時のアレのイメージです。ネギマ君とは何ら関係はございません。
アリを食べてまで756号を再現して魅せたネギマ君。君の今後のさらなる活躍といつか再開できる日を楽しみにしています。あの時なぜ急に試合に出たがったのか?なぜあの時素振りをせずにアリを食べたのか?なぜあの時だけ急に打てたのか?なぜ756号のアレを再現したのか?20年以上の時を超えて、真実を教えてください。