鹿児島の名湯「湯乃山」
私が最も愛する温泉「湯乃山」。現在大河ドラマで話題の「西郷どん」終焉の地隣の路地を入るとその名湯はある。営業日時は以下の通り。
入ると左手に番台があり、右手が男湯浴場。
更に奥には、家族湯と女湯浴場がある。基本は家族湯が主体であるが、私のおすすめは浴場。
「湯乃山」の特徴は何といってもその圧倒的な泉質。明礬を含むかけ流しのぬるぬる湯は圧倒的な保湿効果があり、特に冬季入浴後は帰宅後も暖房がいらないほどの保温効果がある。これは平峰調べではあるが、良質な湯を判断するのに入浴後の保温効果がある。良質な湯であればあるほど同時間帯入浴後の保温効果は高く、持続するものであり、自宅の沸かし湯などとは比べ物にならない。その点においてこの「湯乃山」の泉質は、市内一、県内においてもトップクラスである。
もう一つの特徴に風情がある。温泉は日本古来の分化であり、私は温泉の一つの評価基準として風情を重要視している。確かに大都会に見受けられるありとあらゆる設備を兼備したスーパー銭湯も便利ではあり、あれはあれで素晴らしいサービスでアあるが、私に言わせればあれは温泉ではない。あれは温水プールである。以前ここを友人に紹介したところ、「嫁が設備が整っていないと怒った。」と言っていた。私は、「まずその嫁をぶん殴り、日本古来のわび・さびを勉強させるためにへうげものを読ませろ。千利休に学べ。」と怒鳴ったことがある。そう、ここには日本人が忘れかけていた風情「わび・さび」があるのである。食事・マッサージ・仮眠室・テレビにテルマエロマエのような大型大浴場、これでもかというくらい設備を揃え「さぁどうでしょう。」と言わんばかりのスーパー銭湯は、千利休を敬愛する私にはお腹一杯すぎるのである。
「湯乃山」は大学教授であった創業者が、自分の土地を学生と授業の一環で掘っていたらたまたま湯が出て、自作で建築したまさに奇跡の湯なのである。浴場には照明もなく(ちなみにシャワーももちろんない。シャワーなどいらない。)、夜月明かりの中ほど良い広さの湯に浸かると、千利休の茶室にいるようなわび・さびを感じさせてくれる。ただし、こまめに清掃はされていることと、知る人ぞ知る名湯のため客層が良く、浴場は清潔に保たれている。私はこの「こんなものしかありませんが。」的なこの風情が大好きなのである。
湯から上がると休憩所があり、ビールもある。
この賽銭箱にお金を入れて勝手に飲むというシステムである。これもまた良い。私は自宅がここから近く、夏にここで飲むビールは格別である。
目の前には池があり、鯉が泳いでいる。このすべてが自作であるというから驚きだ。まさにここは市内中心部にいながら風情の限りを感じることのできる聖地である。
足りないからこそ気づくことのできる良さがわび・さびであり、「清貧」という日本人の美学である。足りすぎている現代でお腹いっぱいの人たちに、是非ここを訪れて「わび・さび」に触れてほしい。
※注意:ドライヤーは番台で借りることができます。嫁や彼女と同伴の場合、「設備が・・・。」的な苦情を言う可能性がございます。その際は、私にご一報ください。特別に一回目に限り数回の殴打後、わび・さびと千利休について2時間お話しさせていただきます。一回目は無料で承ります。二回目以降は有料(1時間/100,000円税込み)となります。領収書は発行いたします。カード支払い不可。
天然温泉「湯乃山」公式HP http://www.kagoshima-kankou.com/guide/50366/
鹿児島銭湯推進活動家 平峰恒成